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お口、ポカンと開いていませんか? ~口呼吸、口唇閉鎖不全が引き起こす歯並びと全身への影響~

[2022.05.13]

お父さんやお母さんに『お口を閉じなさい!』と怒られた経験はありませんか?

 

小さい頃は私自身その意味もよく分からず、言われるがまま口を閉じていました。

 

しかし、自分が口や歯並びに関わる職業につき、口を閉じることがいかに大事か、なぜあんなに小さい時お口を閉じなさいと親に怒られたのかが分かってきたので、今日はお口を閉じていないと生じる口呼吸についてお話したいと思います。

 

目次

  1. 口呼吸はどんな状態か
  2. 口呼吸になる原因
  3. 口呼吸がもたらす影響(全身編)
  4. 口呼吸がもたらす影響(お口や表情、歯並び編)
  5. 自分が口呼吸かどうか、チェックしてもらいたいポイント
  6. トレーニング方法

 

 

  1. 口呼吸はどんな状態か

人は授乳が終わると、自然に鼻呼吸へと移行していきます。ただし、何かしらが原因で鼻呼吸への移行が出来なくなると口呼吸になり様々な弊害を引き起こします。

歯並びでいうと、口呼吸を行う際、呼吸のために空気の通り道を確保するため、舌を本来の位置ではなく下方に置きます(低位舌)。

 

そのため、歯並びの内側の筋肉である舌と外側の筋肉である頬や唇の力のバランスが取れず、歯並びが崩れます。この筋肉のバランスの点はコラム:歯並びってどうやって決まる? ~デコボコや出っ歯などの不正咬合が生じるメカニズム~をご参照ください。

 

2.口呼吸になる原因

日本人の少なくとも半分以上の方は口呼吸であると言われていますが、その原因は大きくわけると以下の3つです。

・慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎、アデノイド(咽頭扁桃)肥大など気道、鼻疾患

・歯並びが原因で構造的に口が閉じにくい(開咬、口唇閉鎖不全)

・習癖

 

  1. 口呼吸がもたらす影響(全身編)

 鼻は加湿器、空気清浄機、エアコン、ラジエーターの役割を持っています。鼻呼吸だと、鼻の毛や粘膜で細菌ウイルスを取り除き(空気清浄機の効果)、吸った空気に90%以上の湿度を与え(加湿効果)、温度を温め肺の負担を減らし(エアコンの効果)、副鼻腔での頭部の熱を排熱(ラジエーターの効果)します。口呼吸ではそれらの効果が期待できず以下のような症状を引き起こすと言われています。

風邪や感染症にかかりやすくなる

酸素の摂取量が少なくなり、代謝の低下が引きおこる

代謝の低下により集中力の低下や、ダイエットなどの効果が下がる

睡眠時無呼吸症候群に陥りやすくなる

→舌の位置が下がり、気道が詰まりやすくなる

慢性扁桃腺炎を引き起こし、免疫異常を起こすこともある(掌蹠膿疱症など)

 

4.口呼吸がもたらす影響(お口や表情、歯並び編)

 舌の位置が下方に下がることで歯並びは①上顎の幅が狭くなる、②前歯が前に出るといったことが起こります。歯並び以外にも口呼吸を行っていると頭頚部の筋肉に様々な影響を与えます。

不正咬合(上顎前突、叢生、開咬)

上顎前突

叢生(歯並びのデコボコ)

開咬

・表情筋の劣化

→口呼吸であると表情の筋肉を使用しないため、表情筋がたるみやすく老け顔になりやすい

顎から首にかけての引き上げる筋肉の力が弱まり、二重顎になりやすくなる。

 

5.自分が口呼吸かどうか、チェックしてもらいたいポイント

口呼吸の方がなりやすい身体の特徴を列挙します。複数個当てはまる方は口呼吸である可能性があります。

 

①唇が乾燥しやすい

②上の前歯の唇が当たる部位に色がつきやすい

③歯茎が赤黒い(堤状隆起)

④上下の唇の厚さに差があり、下唇の方が厚い

⑤上唇が富士山型

意識しないと口が開いている

⑦よくいびきをかく

⑧鼻炎持ち

⑨猫背になりがち

⑩鼻の孔を意識して動かせない

⑪食べる時に音を立てる

⑫飲み込みに時間がかかる

(口でしか呼吸していないと口の中に物があると時間がかかる)

 

  1. 鼻呼吸トレーニング方法 

鼻疾患をお持ちで全く鼻呼吸が出来ない方はまず耳鼻科で相談してください。口呼吸によって、既に歯並びが崩れている方は、歯並びと口呼吸の改善、並行しながら治療した方が良いと思うので矯正相談に行かれても良いかもしれません。少しでも鼻呼吸が出来る方は以下のトレーニングを無理のない範囲で行ってもらっても良いと思います。

 

1.ガムトレーニング

口を閉じてガムを噛んでいるだけでも鼻呼吸を促すトレーニングになります。

2.口唇閉鎖テープを用いて何分か過ごす

→はじめは数秒しか出来なくとも、鼻呼吸を行うための筋肉を鍛えるトレーニングになります。少しずつ行ってください。慣れてきたら軽い運動をしながら鼻呼吸をしてみてください.

3.鼻唄

→1回10分くらいゆっくり鼻唄を歌うことも効果的です

4.ガーグルストップ

→3秒間ガラガラうがいをした後に、上を向いたまま止めて、3回鼻呼吸をしてもらいます。口呼吸の強い方はむせてしまいますのでご注意ください。

 

成人の方も鼻呼吸を行うことは大事なのですが、5,6歳から15歳くらいのお子様は特に成長や歯並びに影響を与えやすいので注意が必要です。

もし、口呼吸をしており、まだそこまで歯並びが崩れていないお子様には、大変だと思いますが何度も注意してあげることが大切です。

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