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矯正の治療期間がどのように決まってくるのか~治療期間の長さを決める要素~

[2022.05.06]

矯正治療は期間が長い治療になるといったことはよくお聞きすることだと思います。

 

ただ、クリニックによっては治療期間の長さが異なったことを言われ、どれが自分に値する治療期間か分からないといったようなこともあるかもしれないです。

 

そこで治療期間について、どのような目安でお話しているか紹介したいと思います。

 

 

今回は、大人の矯正治療の治療期間のお話をします。

 

一般的に言われている大人の矯正の治療期間の平均は2年半ほどです。

もちろん、これは見た目歯が並んだというだけでなく、奥歯もしっかり噛めて機能的にも審美的にも問題ないとされる咬合に至るまでの期間です。前歯を並べるだけなどでしたらもっと短い治療期間が可能です。

 

この2年半という治療期間は、治療期間が短い方から長い方まで含んでいます。

短い方だと1年程で終わる方もいますし、長い方で3年~4年治療にかかっている方もいる中での一般的に言われている平均の治療期間です。

 

では、なぜこんなに人によって治療期間がまちまちなのでしょうか?

 

治療期間を決める要素を思いつく限り挙げてみました。

 

  1. 歯の移動量
  2. 歯の動かし方
  3. 骨格的不正の大きさ
  4. ご自身でかけてもらうゴムなど、患者さんの協力度
  5. 治療計画
  6. 個人間での歯の動くスピード

 

 

1.歯の移動量に関しては、奥歯のずれ方や前歯の突出度合いによって決まってきます。デコボコが多いけど奥歯はしっかり噛んでいる方で抜歯の治療になった方は移動の距離が短く、意外と治療期間が短いことが多いです。ここは個人によって歯の適正な位置が骨格によって決まっているので、移動の量は矯正医によって大きな差は出にくいですが、なるべく少ない移動量で機能的にしっかり噛める治療計画を立てます。

 

2.歯の動かし方ですが、歯の動かし方で歯を歯茎側に沈める圧下という動きと奥歯を後方に動かす臼歯遠心移動は総じて動きにくい動きで、治療期間も長くなることが多いです。

 

3.骨格的不正が大きい方というのは、左右的に下顎がずれている場合や、前後的に下顎が突出していたり、下顎が小さく上顎が突出している場合です。骨格的不正が大きい場合、その骨格に合わせて歯を動かす事になり、治療期間が長くなります。骨格的ずれの度合いによっては、顎の手術を併用する矯正治療でないと改善できない場合もあります。

 

4.患者さんの協力度に関しては、主に自分でかけるゴム(顎間ゴム)を長時間使用してくださるかどうかです。奥歯の関係性を改善するためにどうしてもご自身でゴムをかけていただく事も多いのですが、そのゴムを一日どれだけかけられているかで治療期間が大きく異なります。

 

5.治療計画は、いかに無駄のない動きで歯の動かし方、動かす量を決めるかです。歯の動く量はどれだけ早い人でも歯の周囲の骨改造などを考慮すると、1ケ月に1mm程度といわれています(平均的には0.5mmほど)。その移動量になるべく近づけるために、当院で用いているローフリクションブラケットといわれる歯の動きを妨げる余分な力(摩擦力)を除く装置を用いるなどして工夫します。そして、矯正を行う歯科医師の大きな仕事は、その移動の範囲内で、いかに最短ルートで歯が動き終わるように計画を立てるかです。

つまり、いかに歯が早く動く装置を用いても、計画に無駄が多ければ治療期間は長くなるという事です。ここは矯正医によって大きな差が出るところです。

 

 6. 個人間での歯の動くスピードは、ここは実際動かしてみないと何とも言えないところになります。歯の動くスピードは、個人が持っている細胞(破骨細胞や骨芽細胞など骨を作る細胞)によって異なっているのか、もしくはまた別な要素であるのか、その点はいまだ解明されていません。一ついえることは、年齢を重ねられている方の方が、動きが遅いことが多いです。近年、RAPなど骨の代謝を活性させる方法も出てきており臨床成績は良いとされていますが、その成果について結論付けるためには、まだ研究の余地があるのではないかと個人的には感じています。

 

まとめますと、治療期間を予測することは非常に多種な要素からくることなので難しいです。極端に治療期間が短い場合は奥歯の噛み合わせのずれが少ない場合が多く、それ以外の奥歯のずれが大きい方や前歯が大きく前突している方だと、どうしてもしっかり治療する必要があり、期間が長くなることが多いです。

全体的に治療が必要な方は一応2年半から3年期間がかかる可能性があるかもしれないと考えてから治療開始する方が良いと思います

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