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歯ぎしりや食いしばりでお悩みの方に矯正治療で出来ること

[2022.07.07]

歯ぎしりや食いしばりで近所の歯医者さんに注意されたり、自分自身起床時や夕方嚙む筋肉(咬筋など頬っぺたの筋肉や側頭筋などのこめかみの筋肉など)が重くしんどいといったご経験はありませんでしょうか?

 

実際、近年歯ぎしりや食いしばりでご相談にいらっしゃる方が増えてきていると思います。

まだまだ、歯ぎしりや食いしばりなどについて判明していない点もありますが、その原因や起こりうる悪影響、対策としてご自身で出来ること、矯正治療の観点からお力になれることをお伝えしたいと思います。

 

目次

  1. 歯ぎしりなどがどういう人におこるのか
  2. 歯ぎしりや食いしばりの原因って?
  3. 起こりうる悪影響
  4. ご自身で出来る対策
  5. 矯正治療の観点からお力になれること

 

  1. 歯ぎしりがどういう人に起こるのか

 

咀嚼筋の活動により起こるものとされており、一般人の85~90%の方に起こるものとされています。性別の差は特になく、若年者が最も多く、年齢とともに減少していくといわれています。

 

2.歯ぎしりや食いしばりの原因って?

 原因についてまだ解明されていない部分が多いと思います。

現在最も有力とされているのが、情動ストレスと深い関係があるということです。

 

原始的な生体反応として、他の動物などがストレスを感じた時、歯をグッと噛んで牙をむき出しにしてこないでしょうか?

 

その動物のストレスと歯をグッと噛む反応の関係と、人間でいうところの歯ぎしりや食いしばりとストレスの関係とが同じメカニクスで起こっているという説です。

 

以前まで、歯が変に上下で当たっているなど、抹消からの刺激によって歯ぎしりなどがおこるという説もありましたが、それよりもストレスなどで脳が噛む筋肉(咀嚼筋)を刺激し歯ぎしりなどを起こすということです。

 

ストレスのほかに歯ぎしりや食いしばりを脳が引き起こす原因として過度なアルコール、薬、個人の性格によるものなどがあげられます。

 

この説が正しいとすると、歯ぎしりや食いしばりはとても悪いものというイメージが強いですが、それらがストレス緩和の役割を担っているとも考えられているので、ストレスにとっては良いものかもしれません。

 

ただ、歯ぎしりや食いしばりによって起こりうる悪影響は数多くあります。

 

3.起こりうる悪影響

 

・歯に対して

歯が削れる、歯の表面のエナメル質が割れる、ひびが入る、アブフラクション(楔状欠損)の原因になる

・歯周組織に対して

歯肉退縮や外骨症(歯茎に出来る骨の隆起)

 

・咀嚼筋や周囲筋に対して

筋肉の肥大や咀嚼筋の緊張性頭痛、肩こりなど

 

・顎関節症

 

 

4.ご自身で出来る対策

 

睡眠時の歯ぎしりに効果のある対処法

・枕を高くしない

・横向きやうつ伏せで寝ない

・過度の飲酒を控える

 

起きている時の歯ぎしりに効果のある対処法

・唇は閉じて上の歯と下の歯を合わせないように意識する

・咬み合わせていることに気がついたらすぐに離す

・唇や頬の周りの力を抜く

・紙に「噛みしめない」と、書いて家の中に貼っておく

対処法としては以前のコラムTCHについてとすごく似ていますのでそちらも参考にしてください

http://上下の歯当たっていませんか?~上下歯列接触(TCH)で起こる顎関節や歯への負担~

 

睡眠時、覚醒時の両方の歯ぎしりに効果のある対処法

・ストレスを溜めない

・リラックスをする

・極端に固いものを噛むのを控える

・食事で強く噛まずに噛む回数を増やす(1口で20回~30回を目標に)

・左右均等に奥歯で少しずつ噛む

・頬づえをつかない

 

6.矯正治療の観点からお力になれること

 

歯ぎしりの原因が脳からの反応だとすると、それを一生発生しないようにすることは難しいと思っております。

歯科治療として、よっぽどひどい歯ぎしりの方にボトックス注射を噛む筋肉(咬筋)に注射し、一時的に抑えるという方法もありますが一時性のものであり、毎回注射するのもすごく大変なことだと思います。(当院では現段階ではボトックス注射の治療は行っていません)

 

それでは矯正治療としてどのようなことを考え治療するかというと、

歯ぎしりが発生した際、その力を緩和したり、筋肉や顎の関節の負担を減らす咬合を作るということです。

 

具体的にどういう歯並びが良いかですが、

 

歯ぎしりの動きは顎を横や前に出す動きになると思います。

顎を左右前後に動かしたとき、いつまでも奥歯の大臼歯が当たっている状態だと噛む筋肉の力が込めやすく、大きな力が発生し、顎や歯に負担がかかります。もちろん、筋肉も疲弊しやすくなり、肥大しやすいです。

 

それを防ぐためには顎を動かしたとき、なるべく上と下の奥歯が離れるようなかみ合わせを作らなければいけません。(もちろん、顎を前後左右に動かしたときの話なので、通常通り噛んでいるとき上下の奥歯に隙間があることはよくないです)

 

顎を前後左右に動かしたとき、奥歯が離れ、次にその前の歯が離れ、糸切り歯である犬歯が当たっているという歯並びを順次誘導咬合といい噛む筋肉の余分な力の発生を防ぎ、歯や顎の負担を減らすことに繋がります。

 

顎の関節の状況やすでに歯が削れてしまっている方などはこのかみ合わせを矯正だけでは残念ながらつくれない方もいらっしゃいますが、極力このような歯並びになっているかチェックの上矯正治療を行うことが、ストレス社会を生き抜くためのお手伝いになると考え治療を行っております。

 

並びだけでなく、しっかり噛める、全身の負担を軽減するという意味での矯正治療についてのお話でした。

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